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​曲目紹介

​A.ブルックナー / 交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」 WAB.104

 「ロマンティック」という副題は、原語では「Die Romantische」であり、由来はブルックナーが知人宛の手紙の中で「ロマンティックな交響曲」と記したため、または、ブルックナー自身ではなく弟子が彼の話をもとにつけた、など諸説ある。この副題や、演奏時間が長すぎないということもあり、彼の交響曲の中では最も親しまれている作品と言えるだろう。

 ブルックナーは改訂魔と呼ばれることもあり、この交響曲第4番も、第1稿から第3稿まで、版もハース版とノヴァーク版と2種類あり、複雑になっている。今日よく演奏されるのは、1878/80年稿に基づくハース版またはノヴァーク版第2稿であり、今回はノヴァーク版第2稿を取り上げる。ハース版第2稿との顕著な相違点としては、第3楽章トリオ冒頭の管弦楽法と第4楽章最後で回想される第1楽章第1主題の管弦楽法である。同じ曲の稿や版による違いというのは、ブルックナーならではの面白さであると言えるのではないだろうか。

 そして、この曲を語る上で外せないのは「ブルックナー・リズム」である。「ブルックナー・リズム」とは2分割リズムと3分割リズム、または3分割リズムと2分割リズムによるリズムで、1,3,4楽章の主題に用いられている。とりわけ交響曲第4番は「ブルックナー・リズム」を徹底的に用いた成功例である。「ブルックナー・リズム」による力強く美しい旋律に注目していただきたい。

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